日曜日、真さんとお買い物に行った。 真さんって地元のガッコの先生だから、駅前なんか歩いてると、けっこう会うんだよね。 教え子の高校生とかって。 「あ、三田村先生。こんにちは」 そして、今日もまた。 前から歩いてきた男の子が、こちらに気付いてにこっと笑って挨拶して来た。 並んで歩いていた小さな男の子が、不思議そうにこちらを見上げる。 「僕の学校の先生だよ。 弟なんです」 「あ…こんにちはぁ」 小学校に上がったくらいかな? その子は、お兄ちゃんに言われてぺこっと頭を下げる。 こんにちは、と返した私達の言葉に、にこっと笑う顔がまた、ちょっとはにかんで可愛い。 「買い物か?小麦」 「はい」 「あのね…僕これから、アイス食べてくんだぁ」 真さんと、小麦君て呼ばれたお兄ちゃんをそっちのけで、弟くんは嬉しそうに私に言った。 今日は晴れてて随分暖かくて、アイスもおいしいだろうなぁ。 「真さん。私達も食べてこうよ、アイス」 「は?なっ…」 「さ、いこういこう。今日はおねーさんの奢りだぁ♪」 いきなり言われて驚く真さんと、急な展開に目を丸くするお兄ちゃんの背を押して、近くのアイスクリーム屋さんへ向かう。 弟くんは急展開にも動じず、アイスアイス、と歌うように並んで歩いてくる。 お店はそこそこ人がいて、私が席取り係で待ってることにした。 真さんに、バニラアイスチョコがけー、と注文して千円札を渡す。 はいはい、と受け取りながらも、ちょっと渋い顔だ。 「ったく…あんまり1人の生徒に贔屓するのは良くないんだがなぁ」 「だーかーら、私のおごりなんじゃない。 真さんはおまけなんだからいーの」 「誰がおまけだ、ばーか」 先にカウンターに行った2人に聞こえないように悪態をつくと、彼もそちらへ歩いていく。 ほんっと、生徒の前ではカッコつけなんだから。 「お待たせしましたー」 待つことしばし。 お兄ちゃんが、自分のと私のを手に一足先に戻ってきた。 カウンターを見ると、弟くんと真さんが揃ってなんだか思案の模様。 なんだかんだ言いつつ、自分も好きなんじゃない。真さん(笑) 「ありがとー♪」 お兄ちゃんの優しい笑顔に内心かなり癒されつつ、注文どおりのアイスを受け取る。 「真さ…三田村先生って、学校ではどう?」 「え?いい先生ですよ?か…ちょっと、厳しいって評判ですけど」 今、か、て言いかけたよね? ちょっとでなくて、かなり、て言いたかったんじゃぁ…。 「遠慮しなくていいよ、私も教え子だったしね。 泣かされたら相談にいらっしゃい、やり返してあげるから」 「いっ?……いえ、ほんとに、いい先生ですって。生徒思いだし」 冗談半分で行った言葉に、なんだかひどく慌てて否定するお兄ちゃん。 私の頭にげんこつが落ちてきたのは、まさにその後だった…。 ◇ 「どうも、ご馳走様でした」 「ご馳走様でしたぁ」 お店の前で、2人がそう言ってぺこっと頭を下げる。 最近の子供にしては、2人とも礼儀正しくて気持ちいい。 いや…子供って、お兄ちゃんと私、そんなに歳は違わないんだけどねっ?! はっと気付いて、自分に言い訳。 じゃぁねー、と手を振る弟くんに手を振り替えしつつ、ちょっとため息。 「先生の嫁、なんてやってると、なぁんかつられて更けちゃう気がするなぁ」 「安心しろ。小麦に比べたら、お前の方がずっとガキだ」 げんこつのお返しに嫌味をこめて言ったら、にやっと笑ってそんなことを言う。 あぁもう、あのお兄ちゃんに、この実態を教えてやりたい! そして、学校に広めてもらいたい! …と思う私は、確かにあのお兄ちゃんより子供かもしれないけど…。 |
この、真さんと語り手の女性(雅美ちゃん)は以前プレグラさんのお題で書いたばか夫婦(笑)です。 garally→10のお題→その4→03 いつもと変わらぬ毎日。 にいます。 単発のつもりのキャラでしたが、イラストに合いそうなシチュエーションで、他にうちのキャラであいそうな人たちが見つからなくって(^-^; プレグラさんの特別展示室で書かれている、学園都市の設定を背景にさせて頂きました。 食兄&あんくん、雅美ちゃんにお付き合い、ありがとうございました♪ |
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